「1on1が効く5つのポイント」を明らかにし、5つの「対話の型」を示した

 私は組織開発のコンサルタントとして、さまざまな業種の多くの企業で研修などを通じて、コミュニケーションの促進を支援してきました。

 この数年、1on1ミーティングが広がりを見せていますが、その発信源の一つとなったヤフーにおいても、マネジャー層への浸透のための研修を支援してきましたし、その成果を紹介する書籍『ヤフーの1on1』の制作にも協力しました。

 組織の上下間コミュニケーションのためのアイテムとして、普及期から定着期に移ってきたようにみえる1on1ですが、一方で導入企業の間では、二極化が生じていることも感じています。1on1を積極的に評価してますます力を入れる企業と、やってはみたものの思うような成果が上げられずフェードアウトしてしまう企業とが出てきたのです。

 ですが、100社を超える導入サポートの経験から、1on1を正しく扱えれば、部下は自ら成長し、チームは成果を上げはじめる、という確信が私にはあります。初めての著書である『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』では、「なぜ1on1が効くのか」「どういう話をするか」「どのような姿勢で聞くか」を具体的なメソッドとともに紹介し、さらには実際の導入事例も挙げながら詳しく解説しています。

 たとえば、「なぜ1on1が効くのか」については、5つのポイントを挙げています(第1章)。

1. 信頼を構築する
2. 視線を合わせる
3. 問題解決を行う
4. 学びを深める
5. 成長を促す

 そして、そのそれぞれについて対話例を挙げながら「何を、どう話せば響くか」を紹介しました。それが、次の5つの「対話の型」です(第3章)。

1. メンバーとの信頼を構築するための1on1
2. 主体的な目標設定を促すための1on1
3. 問題に気づかせるフィードバックのための1on1
4. 経験学習によって学びを深める1on1
5. 部下の成長を促す1on1

 型を意識して対話を数多く重ねるうちに、きっと自分なりの手法が生まれてきます。そして、その手法を1on1の場で磨き込むことで、部下が自ら動き、成果を上げつづけるチームをつくるうえで、あなただけの「戦術」が手に入るのです