株式会社TOKIO城島茂社長が語る、事業承継と会社にとって大切なこと撮影:安達尊

日本の企業の99.7%を占める中小企業*1 だが、いま、全国各地で、その後継者不足が問題になっている。経営者の高齢化が進み、およそ半数の事業者が“後継者未定”という調査データもある。後継者が見つからない理由から休廃業・解散の道を選ぶ企業も多く、然るべき「事業承継」が望まれる状況だ。先月(2021年10月)スタートした番組「社長、城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~」(BSフジ)でナビゲーター役を務める株式会社TOKIOの城島茂社長に、事業承継と株式会社TOKIOについての話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/安達尊)

*1 中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」参照

中小企業の「事業承継」は日本経済の切実な問題

 民間の信用調査会社のデータによれば、年々、企業の休廃業件数は増加傾向にあり、2020年は過去最多となる5万件近くが休廃業・解散となった。黒字経営でも廃業している企業が6割を占め、その主因のひとつが「後継者不足」だという。中小企業の「事業承継」の有無は日本経済を左右する切実な問題だ

城島 後継者不足で会社を畳まざるを得ないケースがあまりにも多いことに驚きました。そして、年々、中小企業の数が減っている数字を見て、今後、日本の経済はどうなっていくのだろうと思いました。番組(BSフジ「社長、城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~」)では、そうしたデータも紹介しているのですが、数字の背景には、企業経営者、従業員の皆様、ビジネスパートナーや顧客といったあらゆる人たちがいて、ひとつの企業を取り巻くさまざまな思いがありますから、それぞれの会社さんが休廃業していく事実の重みを感じます。事業承継は、いまの日本社会が抱えている大きな問題で、その現実を目の当たりにして、新米社長である僕も考えさせられることが多いです。

 中小企業庁は後継者不足に悩む事業者を対象に、2021年4月1日から事業承継のワンストップ支援を行う“事業承継・引継ぎ支援センター*2 ”の活動を全国で開始した。会社を次の世代(の経営者)へと承継する「事業承継」には、親族内承継、社内従業員への承継、M&A(社外の他事業者等への承継)などのパターンがあり、事業承継・引継ぎ支援センターでは、あらゆる事業承継のサポートを行っている。

*2 公的相談窓口である「事業承継・引継ぎ支援センター」 は全国47都道府県に設置され、中小企業の事業承継に関する相談に対応している。

城島 いま、企業勤めで頑張っていらっしゃる若い世代の方の中には、いつかは独り立ちして自分で会社を起こす人もいるでしょう。やがて、事業を譲り受ける人もいるでしょう。いますぐではなくても、10年後20年後には、どんな企業も事業の承継問題が立ちはだかります。一代だけの経営で終わらせる方法もありますが、特に中小企業の「事業承継」は大きな課題であることに間違いありません。その具体的な方法や実際のケースを番組で紹介して、僕も勉強させていただきながら、皆様に知っていただくことができればいいですね。公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターの役割もとても重要だと思います。

 番組はすでに2回の収録を終えましたが、どちらの回も、創業者である経営者の方々の事業に対する思い入れの強さが印象的でした。初回放送*3 は、鉄を加工する会社さんの親族内承継のお話でしたが、ロット数が少なかろうが多かろうが誰もが満足する納品を完璧にこなしていく……まさに、鉄に熱を入れるような“熱い思い”がそこにはありました。そして、事業を譲る方も、譲り受ける方も仕事へのこだわりとプライドがすごい。すべてが超一流で、顧客を大切にする中小企業は、プロフェッショナルの人たちの集まりだとつくづく思います。

*3 社長、城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~ 第1回「親と子の新たなる絆」(2021年10月10日(日) 14:00~14:30放送済み)

株式会社TOKIO城島茂社長が語る、事業承継と会社にとって大切なこと写真提供:株式会社TOKIO

株式会社TOKIO

取締役社長 城島茂 Shigeru JOSHIMA

1970年11月17日、奈良県出身。TOKIOのリーダーを務め、2021年4月1日からは株式会社TOKIOの社長としても活動。「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)出演のほか、2015年4月より「週刊ニュースリーダー」(テレビ朝日系)のMCを務め、2021年10月より「社長・城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~」(BSフジ)に出演中。