量子コンピューティングの進化に期待

 さらに、先に触れたガブリエル・アプリ博士は、複雑な問題を解くための計算時間が少ない、つまり処理当たりの稼働時間が少なくて済む量子コンピューターが、地球温暖化対策に貢献する可能性にも言及していた。現在の量子コンピューターは、動作に極低温環境が必要なためエネルギー消費も大きいが、将来的には常温で稼働する量子コンピューターも実現可能とみているためだ。それには最低でも2桁の年数がかかりそうだが、明らかな道筋が見つかれば、現在、量子コンピューティングに取り組んでいるIBMやグーグル、マイクロソフトなどのIT業界大手や、半導体メーカーのインテルの列にアップルも加わり、量子マシン向けのアップルシリコンの開発なども行われていくのかもしれない。

 全人類の大多数が電気のない生活には戻れないのと同じように、電子機器やインターネットのない生活はもはや考えられなくなってきている。それだけに、これからは利用する製品やサービスを選ぶに当たって、パフォーマンスの高さだけでなくエネルギー効率も考慮して選択することが欠かせないポイントになりつつあるといえるのだ。