総合地球環境学研究所所長の山極寿一氏総合地球環境学研究所所長の山極寿一氏 Photo:JIJI

学者・研究者として
存在が目立つ2人の卒業生

 東京都の西郊・国立(くにたち)市にある都立高校だ。前身である旧制東京府立第十九中学は、1940(昭和15)年に創立された。ナンバースクールとしては後発だが、自由闊達(かったつ)な校風を背景に、「都立の星」といわれることもある個性的な高校になっている。

 学者・研究者として存在が目立つ、OBとOGがいる。

 ゴリラなど霊長類の研究で世界的に知られている人類学者の山極寿一が、国立のOBだ。2014年10月から6年間、京都大総長に就く一方、17年10月から3年間、日本学術会議会長を務めた。現在は総合地球環境学研究所(京都市北区)の所長だ。

 山極は自由な学風にあこがれ京大理学部に進学、京大霊長類研究所助手などとして、たびたびアフリカなどのフィールドワークにいそしんだ。日本学術会議会長としては退任間際の20年9月に、当時の首相・菅義偉(秋田県立湯沢高校卒)が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否したことの対応に、苦慮した。

「ゴリラの世界から人間の世界を見ることによって、人間性の本質を知ることができる」(国立高校同窓会会報『たちばな』10年3月発行から)などと記し、山極が書くエッセーは人気が急伸した。