連結最終利益1兆円超となった
ソニーグループトップの吉田憲一郎
「旧制一中伝統校」の鹿児島版が、鶴丸高校(鹿児島市)だ。県立二中を前身とする甲南高校とは良きライバル関係を続けている。難関大進学実績で全国に鳴り響いている私立ラ・サール高校も鹿児島市内にあり、刺激を受けている。
活躍ぶりが目立つ卒業生がいる。ソニーグループの会長兼社長CEO(最高経営責任者)の吉田憲一郎だ。吉田は、鶴丸高校から東京大経済学部に進学、1983年にソニーに入社した生え抜きだ。技術系・理工系重視のソニーの社風の中で、財務・管理畑を歩み、2018年4月、副社長から昇格した。「(ソニー)らしくない社長」とやゆされてきた。
ソニーグループは21年3月期決算で連結最終利益が1兆1923億円となった。ソニーグループとしては1兆円を超えたのは初めてのことであり、日本の製造業で1兆円を超えた企業は、トヨタ自動車とソニーグループだけだ。
戦後の日本経済で急成長企業のチャンピオンとして、高度成長のけん引役となったソニー。21世紀になってからは、「ソニー神話の崩壊」が何度も取り沙汰されてきたが、吉田体制になって一変した。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』というコンテンツが想定外の大ヒットとなったことを見逃せない。これにより、グループの映画、音楽、ゲーム事業が、収益を大きくかさ上げした。「経営者は結果がすべて」といわれるが、吉田はツキにも恵まれているようだ。