税務調査で「白旗」を揚げるべきタイミングとは?

――私は改めて、税理士の重要性を感じました。橘先生がいなかったら、絵画以外でもデタラメな申告をしていたかもしれませんし、「税務調査が来るから」とあわてて絵画を蔵に隠して、もっと大変なことになっていたかもしれないわけですよね。

橘:そうですね。当然のことながら、私が見ている税務調査の事例はいずれも「税理士が立ち会っている税務調査」です。しかし昨今のトレンドとしては、「税理士をつけずに申告した人」が調査対象になっています。その場合の税務調査はもう、大変だと思いますよ。

――想像するだけで胃が痛いです、、、。

橘:知識なくして、調査官とはやり合えませんからね。調査官から「これは申告漏れです。重加算税の対象になります。そういうものですから」と言われたら、「悪意があった」という後ろめたさもある納税者は、「そうですか」と受け入れるしかなくなってしまいますよね。

――橘先生のもとには、納税者がデタラメな申告書を出し、それが原因で税務調査が来たところで、「はじめまして。助けてください橘先生!」のような依頼もあるのですか?

橘:数は少ないのですが、ありますね。「税務調査だけ立ち会ってください」という依頼は。

――ここから任されても……と思いますよね?

橘:そうですね(苦笑)。私が入ったところで、もう申告は終わっていますし、そもそも「ダメなものはダメ」という論点がたくさんある申告書について調査がやってくるわけですからね。その場合はもう、「悪意はなかった。手違いだった」と言って自分から修正していくしか手はないですね。

――そうなんですね。調査官にはどう伝えればいいですか?

橘:ポイントは、調査が始まる前か、調査が始まった直後に白旗をあげることです。調査官から指摘される前に、「これとこれとこれが漏れていたようなので、修正申告する予定です」と伝えます。その方が、調査官からの心象が確実に良くなるはずです。

――完全に白旗を揚げるわけですね。

橘:はい。ただ、追徴課税になるにしても、手違いとみなされて「過少申告加算税」が課せられるか、悪意の過少申告とみなされて「重加算税」が課せられるかで、ペナルティの額は大きく変わってきます。その意味では、最悪の事態を避けるためにも、税務調査が来るとわかってからでも税理士に入ってもらい、「しっかりと正確に白旗を揚げる」メリットはあると思いますよ。

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第1回 税務署が許さない「悪意ある納税者」とは?

税務調査は「白旗」を揚げたほうがトク!? タイミングと伝え方を徹底解説!橘 慶太(たちばな・けいた)
税理士。円満相続税理士法人代表
中学・高校とバンド活動に明け暮れ、大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(「資格の大原」主催の法人税法の公開模試では全国1位)。大学卒業前から国内最大手の税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社する。税理士法人山田&パートナーズでは相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手がけた相続税申告(相続手続)は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算500件以上。相続税の相談実績は5000人を超える。また、全国の銀行や証券会社を中心に通算500回以上の相続税セミナーの講師を務める。2017年1月に独立開業。現在、東京・大阪の2拠点で相続専門税理士が多数在籍する円満相続税理士法人の代表を務める。「最高の相続税対策は、円満な家族関係を構築すること」をモットーに、依頼者に徹底的に寄り添い、円満相続実現のために日々尽力する。週刊東洋経済や女性自身、日本経済新聞、朝日新聞など、さまざまなメディアから取材を受けている。限られた人にしか伝えることができないセミナーよりも、より多くの人に相続の知識を広めたいという想いから、2018年にYouTubeを始める。自身が運営する【円満相続ちゃんねる】は、わかりやすさを追求しつつも、伝えるべき相続の勘所をあますところなく伝えていると評判になり、チャンネル登録者は6万9000人を超えている。2020年に刊行した初著書『ぶっちゃけ相続』は4万6000部を突破するベストセラーとなった。
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