中国はこのほど、世界最大級のレアアース(希土類)企業を設立することを承認した。米中間の緊張が高まる中、戦略的金属の世界的なサプライチェーン(供給網)における支配的な地位を維持する狙いがある。内情に詳しい関係筋が明らかにした。
新会社の名称は「中国稀土集団(チャイナ・レアアース・グループ)」で、早ければ月内にもレアアースの主要産地である江西省に設立する見通し。新会社は中国五鉱集団有限公司、中国鋁業股分有限公司(中国アルミ)、贛州稀土集団有限公司など、国有企業のレアアース資産を統合して誕生させる。
関係筋によると、新会社は中国の価格支配力をさらに高めるとともに、中国企業同士の争いを避けつつ、その影響力を駆使して中核技術を独占しようとする西側諸国の取り組みを阻む狙いがある。
レアアース業界における中国の支配力に関する分析には幅がある。一部のアナリストは中国が世界のレアアース採掘の7割以上、精製の9割を握ると推定する。一方、ホワイトハウスの報告書では、採掘のシェアは55%、精製が85%と指摘されている。
大手国有企業を管理する国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)、五鉱集団など各社は、いずれもコメント要請に応じていない。
今回の新会社設立は、中国がレアアース業界における支配力を使って自国に優位になるよう、地政学上の「兵器」として利用するとの警戒が西側諸国の間で高まっている中で起きた。
こうした中、米国防総省は「中国以外で最大のレアアース元素採掘・精製企業」とする豪ライナス・レア・アースとの間で、テクノロジー投資合意を締結した。合意では、ライナスがテキサス州に軽希土類の精製施設を構築する。
ジョー・バイデン米大統領は同じ頃に発動した大統領令で、供給網のリスク軽減に向け、政策で注力すべき重点4分野の1つにレアアースを指定している。



