「説明することは何もない」
平行線をたどる富士急ハイランド問題
11月22日、山梨県・富士吉田市の遊園地「富士急ハイランド」(以下、ハイランド)が、「FUJIYAMA」や「高飛車」という複数のジェットコースターを利用した2人の女性が骨折など負傷した発表した。これを受けて、山梨県が来庁しての説明を求めたところ、ハイランド側は「説明することは何もない」と言い放ったという。
これを「不誠実な対応」ととった県は、29日付で怪我人を出したジェットコースターなどの「運行停止」を要請した。場合によっては法的措置も検討するという。
「厳しくない?」と思うかもしれないが、実はハイランドのアトラクション、「発射1.56秒で時速180km!」をうたう「ド・ドドンパ」では、昨年12月から首や背中の骨を折る事故が4件発生していた。しかし、県には今年8月まで報告しておらず立ち入り検査を受けたという「前科」がある。「お前ら、まったく反省してないだろ」という、いら立ちが異例の要請につながったというのは容易に想像できる。
では、山梨観光を牽引する東証1部上場企業は、なぜ役所にケンカを売るようなことをしてしまったのか。
まず、ハイランド側の主張としては、「発表は間違いだった」ということがある。県がブチギレした翌30日夜、富士急ハイランド側はこんなリリースを出していた。
ケガをしたという申し出があったので慌てて公表をしてしまったが、よくよく調べたらジェットコースターと因果関係はないことがわかり、ご本人たちにもそう説明して納得してもらったのだという。つまり、ハイランドからすれば、「ジェットコースターのせいじゃないって言ってんだから、わざわざそちらに行って同じ話をしても意味ないでしょ」という理由で県庁の訪問要請を断ったというワケだ。
ただ、企業で行政との窓口を担っている人などからすれば、この対応はちょっとモヤモヤしたものを感じてしまうはずだ。
民間企業が国や役所にケンカを売っても、あまりいいことはないということもあるが、それよりも何よりも客観的に見ると、ハイランド側には行政に対して強く出られる「立場」にないからだ。