自動車ディーラーの在庫が枯渇する中、安値で車を購入したい消費者は店頭表示価格で手に入られれば幸運かもしれない。
米国で新車価格の高騰が止まらない。1年前から世界の自動車業界の大きな足かせとなっている半導体不足が2022年に収束する兆しはほとんどない。
調査会社JDパワーによると、11月の個人向け新車販売のうち、87%近くが表示価格かこれを上回る水準で売られた。約75%だった年央時点から上昇しており、新型コロナウイルス禍前の平均である約36%を大きく上回っている。
新車・中古車ともに供給が歴史的な水準に落ち込んでおり、自動車メーカーとディーラーは値引きの廃止やメーカー希望小売価格に追加料金を加えることで対応している。希望小売価格とは通常、工場からの出荷時に窓に表示されているものだ。追加料金にはタイヤの保護、自動車の装備品などの販売が含まれる。
これに加え、「市場調整」として窓の表示価格の隣に添えられるディーラー側の上乗せ価格も浸透しつつある。こうしたディーラー側の価格調整は追加料金とは別のもので、従来は希少車種に使われることが多かった。だがここにきて、低価格車から「フォード・ブロンコ」といった限定版の新型スポーツ用多目的車(SUV)まであらゆる車種に適用されている。ディーラー関係者やアナリストへの取材で分かった。