テスラの創業者であるイーロン・マスク氏は、偉大な起業家であると同時に破天荒な言動でも知られ、「中二病」と言われてしまうこともある。ただ、中二病的な妄想ができるからこそ、偉業を成し遂げられる側面もある。そしてあなたの社内にも、「ミニ・マスク」とでもいうべき変わり者で生意気な、しかし面白いアイディアを考える社員がいるのではないか。そういう人物との付き合い方を、マスク氏から学んでみよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)
エイプリルフールに「テスラが破綻した」
アナリストへ「退屈で間抜け」
米電気自動車(EV)メーカーのベンチャー企業・テスラを率い、宇宙事業にも乗り出している経営者のイーロン・マスク氏。自社を世界的企業に育て上げ、投資家としても成功し、「前人未到のお金持ち」「誰よりも働く」「未来を創る男」と修辞も破格の表現が使われる。さらには12月13日、米誌「タイム」が選ぶ「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に選ばれて表紙を飾った。
そんなマスク氏だが、一方でその振る舞いが「中二病」と言われてしまうことも少なくない。
例えば2018年には、4月1日のエイプリルフールに「テスラが破綻した」とツイートし、株価を最大8%下落させた。その一方で同年、ヘッジファンドがテスラ株に空売りを仕掛けて株価が急落したことにキレて、自社株を8兆円で買い取るマネジメントバイアウト(MBO、経営陣が参加する自社買収)を行うと言い出し、株式市場は大騒ぎとなった。
同じ18年にまだ話題がある。テスラの決算発表を受けたアナリストとの電話会談で、一部の質問を「退屈で間抜け」と批判し、かんしゃくを起こしたという。