「正常化」に動き出した欧米中銀
「緩和維持」の日銀、来春が正念場
インフレ圧力の強まりからFRB(米連邦準備制度理事会)が12月のFOMC(連邦公開市場委員会)でテーパリング(量的緩和縮小)ペースを加速させることを決めるなど、主要国の中央銀行が緩和一辺倒の金融政策の転換を始めた中で、日本銀行の動きは鈍い。
12月17日の金融政策決定会合でもこれまで通りの「緩和維持」を決めた。
消費者物価の状況が「2%物価目標」にはほど遠く、動くに動けない状況だからだ。
だがその一方で日銀は政策の枠組みは表向き維持し、緩和縮小とみられないようにしながら、行き過ぎた緩和を修正し、状況に応じて対応できる仕組みに変え自らの自由度を高めてきた。来年7月の参院選後をめどに将来の金融政策正常化に向けた動きに踏み出そうという思惑も見え隠れする。
だが輸入原材料の価格急騰で国内企業物価指数は11月には41年ぶりの高い伸びを記録、米国との金利差拡大で円安も進んでいる。FRBは早ければ来年春にも利上げに転じるとみられ、円安加速から日本でも物価上昇の勢いが一気に強まる懸念がある。
「正念場」は思いのほか早く来る可能性がある。