2021年の中国人民元は、中国経済が低迷しているにもかかわらず対ドルで着実に上昇し、予想外の勝者となった。だが、それも長くは続かないだろう。人民元を支えている要因はいくつかある。第一に、中国の巨額の貿易黒字がある。新型コロナウイルス感染拡大に関連して、欧米の需要がサービスよりモノへと大きくシフトしたことで、中国はとてつもなく有利になった。ここ何年かの貿易摩擦を経てなお、中国は世界の製造工場であり続けている。さらに、コロナ感染により、ベトナムなどライバル輸出国の生産と港湾活動がしばしば停止し、中国製造業への世界の依存度が高まった。最後に、中国が国内のコロナ感染を厳しく管理しているため、国内消費が抑えられ、輸入が抑制されている。