中国政府の意向を受け、今年から大きく制度が変わった香港の選挙制度。この12月、新制度で初めての立法会議員選挙が行われた。香港の政界は大きく親中派VS.民主派に分かれるが、親中派が民主派の候補を擁立する、選挙期間中ある言葉が禁止ワードになるなど、数々の“有り得ない”出来事が勃発することに……。香港史上最低の投票率となった選挙期間中に起こった、摩訶(まか)不思議な事態のアレコレを紹介する。(フリーランスライター ふるまいよしこ)
2020年12月の選挙の予定が、2021年12月へ延期に
2021年12月19日、香港の立法会議員選挙が終わった。
香港の立法会議員選挙は、5年に1度行われることがミニ憲法「香港基本法」によって義務付けられており、2020年がその年に当たっていた。出馬を予定していた民主派政治家や活動家たちは、民主派による過半数を狙い、候補者を絞り込むための「予備選挙」を2020年7月に行った。香港市民の関心は非常に高く、主催者たちの予想(約17万人)を大きく超える数の市民(約61万人)がボランティア投票するハプニングとなった。
この勢いのまま選挙に臨もうとしていたところ、香港政府が急きょ「新型コロナ対策」を理由に、選挙の1年延期を発表。さらに2021年1月には「国家政権転覆」容疑で予備選挙の参加者を含む関係者が拘束され、現在も長い長い公判の最中にある。