2020年10月、香港で、抗議のため集まった市民の排除に乗り出す警察 Photo: JIJI2020年10月、香港で、抗議のため集まった市民の排除に乗り出す警察 Photo:JIJI

イギリスから返還された際、中国国内とは異なる制度の下、香港人による自治が認められていたはずの香港。しかし、この「一国二制度」が事実上消滅したといえる出来事が起きた。中国政府は1989年に起きた天安門事件をタブーとしているが、香港では事件後毎年、天安門事件の追悼集会が行われていた。その集会を主催する団体が当局の恫喝を受けて9月25日に解散を決定、香港で30年続いた追悼集会がついに封じ込められたのである。(フリーランスライター ふるまいよしこ)

天安門事件の追悼集会を主催する団体が解散を決定

 2020年6月、中国政府の先導で制定された香港国家安全維持法(以下、国家安全法)の施行に伴って、香港の「一国二制度」は日に日に有名無実化が進んでいる。大衆紙「アップル・デイリー(蘋果日報)」の廃刊(参考記事:香港からリンゴが消えた日)や、親中派に有利な選挙制度の改正(参考記事:「愛国」圧力強まる香港のいま、民主派区議が200人以上辞職の異常事態)については過去に記事で触れた通りだが、ついに決定的な出来事が起きた。市民団体「香港市民支援愛国民主運動連合会」(以下、支連会)が9月25日、全会員を集めた会議を開き、解散を決めたのだ。

 現在、支連会のトップ3人(主席と副主席)は「国家政権転覆罪」に問われて逮捕され、獄中にいる。李卓人主席と何俊仁副主席は事前に連名で、「現在の社会状況に鑑み、自主的な解散は支連会にとって最も理想的な措置だ」とする書信を発表。一方、鄒幸トン(「丹」にさんづくり)副主席は代理人を通じ、フェイスブックで「支連会の解散はその理念の継続には助けにはならない」と反対していた中での解散決定だった。