「この株は売り? それとも買い?」「儲かる株はどっち?」まるで投資シミュレーションのようにクイズを解きながら「株で勝つ技術」を身につける画期的な1冊『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』が発売された。ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏が、何万回にも及ぶ膨大なトレードの末に確立した「トレードで勝つ技術」を1冊に凝縮しただ。チャートのテクニックを最大限に活かすためには、どんな株を狙えば良いのだろうか。窪田氏に話を聞くと、「個人投資家にとって利益を出しやすい株」があることを明かしてくれた。

株トレPhoto: Adobe Stock

トレンドが出やすい小型株はチャート分析が効果的

──窪田さんの著書は、チャートの見方を実践的に学べるのがポイントです。チャート分析が有効な株はありますか?

窪田真之さん(以下、窪田):トレンドが出やすい株はチャート分析が有効だと思いますし、上手くトレンドに乗ることで大きな利益が得られます。

 例えば、小型成長株や東証マザーズに上場している株などはトレンドが出やすく、上がる時はどこまでも上がっていき、下がる時はどこまでも下がります。こういうトレンドが出る株を選んで、上昇トレンド買い、下降トレンドで空売りするのが良いと思います。

──小型株の方が、トレンドが出やすいのですか?

窪田:そうとも言い切れません。時価総額が大きいほうが値動きが小さくなる傾向はありますが、浮動株や流動性の違いがありますので、一括りに時価総額が大きいからトレンドが出にくいとは言えません。

 例えば、任天堂(7974)やソフトバンクグループ(9984)などは大型株ですが、トレンドが出ると大きく動きますよね。上がる時も下がる時も動きが大きいと思います。

 トレンドが出るかどうかは、時価総額よりも、世の中の人が注目し、熱狂するようなテーマに乗る株かどうかだと思います。

「話題だから買う」のではなく、きちんとチャートを確認

──窪田さんはどのような銘柄を狙ってきたのでしょうか。

窪田:値動きとしては、長期で下落していて、底値圏でしばらくもち合いが続いていて、短期的に急騰した株を買い候補としていました。

 小型成長株を例にすると、移動平均線が下向いている時は買いません。売買高が減っている時も買いません。移動平均線は、期間が短いと向きが細かく変わるため、期間にもよるのですが、例えば、13週移動平均線が下向きの時は様子見ですね。

──13週移動平均線は中長期の投資でよく使われる指標です。デイトレードのような短期トレードをする人は、あまり見ないのではないでしょうか?

窪田:そんなことはないと思います。デイトレをやる時に、13週移動平均線や26週移動平均線の傾きを頭に入れた上で、5日とか10日の移動平均線を見れば、よりうまくトレードできると思います。

 ただ、今回の本(『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』)に関しては、それなりに長く持つことが前提で、デイトレはあまり意識していません。今はロボットによる高速トレードが普及し、デイトレでのサヤどりが難しくなっていますので、1日、2日という単位ではなく、もう少し長い期間を想定してチャートを見るのが良いと思っています。

──テーマ株もトレンドが出やすいと言えます。見る際のポイントはありますか?

窪田:テーマ株については、そもそもチャートをきちんと見ていない人が多いように感じます。例えば、「この関連だから買い」「新しいテーマに変わったから売り」といったように、チャート以外の情報で売買を判断しているということです。

 これはやめた方がいいですよね。せっかくチャートに多くの情報が出ていますし、トレンドが出やすい株はチャート分析が有効ですので、そういった銘柄こそしっかりチャートを見て売買のタイミングを掴むのが良いと思います。

窪田真之(くぼた・まさゆき)
楽天証券経済研究所 所長兼チーフ・ストラテジスト
大和住銀投信投資顧問などを経て、2014年より楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト。2015年より所長兼務。日本株ファンドマネジャー歴25年。年間100社を超える調査取材をこなし、公的年金・投資信託・NY上場ファンドなど20代で1000億円以上、40代で2000億円超の日本株運用を担当。ベンチマークである東証株価指数(TOPIX)を大幅に上回る運用実績をあげてきた。楽天証券では2014年から現在まで、同社投資メディア「トウシル」にて月曜日から木曜日まで「3分でわかる!今日の投資戦略」を連載。月間200万ページビューを超える人気コラムとなっている。主な著書に『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』(ダイヤモンド社)がある。