漆間啓社長記者会見で陳謝する三菱電機の漆間啓社長(写真左) Photo:JIJI

出口が見えない三菱電機の検査不正問題。新たな不正が明るみに出る度、激しい非難を浴びて信頼回復は遠のくばかり。杉山武史社長と柵山正樹会長(いずれも当時)が引責辞任したのも焼け石に水のようだ。発覚からすでに半年。メディアが追及の手を緩めない理由は何か!?――三菱電機が“説明責任の迷路”から抜け出すための処方箋を探る。(トラストワークス代表取締役 風間 武)

痛恨の失点だった
アンケート問題

「上司がアンケートを会社に提出するよう指示した件について、風土改革の難しさをどう捉えているか?」

 2021年も押し詰まった12月23日、三菱電機本社で開かれた会見の席上。記者からの最初の質問は、漆間啓社長が進める社内改革の成果に疑問を投げかけるものだった。

 三菱電機はこの日、社外弁護士などからなる調査委員会の第2回報告を公表した。鎌倉製作所の自動料金収受システム(ETC)設備の検査不正など、5製作所で29件の新たな不正が見つかった。累計件数は6製作所47件に膨れ上がった。