日系電機メーカーにとって2021年は、勝ち組と負け組の分岐点といえる年だった。22年以降は、リスクを取って成長投資を行ったかどうかで企業の明暗が分かれるだろう。電機業界では事業ポートフォリオを早めに入れ替えた日立製作所やソニーグループ、三菱電機が優等生とされてきたが、それらの企業にも“異変”が起きている。特集『総予測2022』の本稿では、東芝、NEC、富士通も含めた電機業界における真の勝者・敗者を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
1兆円の企業買収で大博打に出た
日立、パナソニックの死角とは
振り返ればリーマンショック後、日系電機メーカーは事業売却とリストラを行うばかりで、十分な成長投資をしてこなかった。各社の売上高に対する研究開発費の比率は7%未満であり、トヨタ自動車グループの電動化技術をけん引する“エレキ部隊”であるデンソーの同10%に比べるとかなり低い。
電機メーカーは投資を集中するべき次の成長領域を見極め切れていなかったのである。
結果的に、電機業界はドングリの背比べのような状況だったのだが、21年はデジタルトランスフォーメーション(DX)にかじを切り巨額投資を行った勝ち組候補と、相変わらず低調な投資を続ける企業とにはっきりと分かれた。デジタル化で旧来のものづくりの価値が低下する中、思い切った成長投資で新領域を切り開けるかどうかが、大きな「競争力格差」を生むことは言うまでもない。
それでは電機メーカー7社の投資実績から各社の成長性の有無を見ていこう。