いまやっている仕事は、
そもそもどんな経緯で生まれたのか?

 どんな小さな会社にも歴史はあるし、業界全体を考えてみれば、どんな仕事の背景にも、現在にいたるまでに多くの人が奮闘し続けた、長い歴史があるはずです。

「いまやっている仕事って、そもそもどんな経緯で生まれたの?」と聞かれ、即座に明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

 いま皆さんが読んでいる「本」だって、その昔に人々が自ら読むことができなかった知識を、グーテンベルクのような印刷のパイオニアや、ルターのような宗教の改革者が、何とか皆に広げようと努力して開発し、普及させていったものです。

 それによって教会のみが知識を独占する中世の世界がひっくり返され、大衆が文化をつくっていく時代に変わりました。

 自らの仕事の軸を見抜き、それを過去にさかのぼれば、現状を打開する妄想の芽を見つけることができます。

 まずは足下の歴史を振り返ることから、妄想の幅を広げてみてはいかがでしょうか。

細尾真孝(Masataka Hosoo)
株式会社細尾 代表取締役社長
MITメディアラボ ディレクターズフェロー、一般社団法人GO ON 代表理事
株式会社ポーラ・オルビス ホールディングス 外部技術顧問
1978年生まれ。1688年から続く西陣織の老舗、細尾12代目。大学卒業後、音楽活動を経て、大手ジュエリーメーカーに入社。退社後、フィレンツェに留学。2008年に細尾入社。西陣織の技術を活用した革新的なテキスタイルを海外に向けて展開。ディオール、シャネル、エルメス、カルティエの店舗やザ・リッツ・カールトンなどの5つ星ホテルに供給するなど、唯一無二のアートテキスタイルとして、世界のトップメゾンから高い支持を受けている。また、デヴィッド・リンチやテレジータ・フェルナンデスらアーティストとのコラボレーションも積極的に行う2012年より京都の伝統工芸を担う同世代の後継者によるプロジェクト「GO ON」を結成。国内外で伝統工芸を広める活動を行う。2019年ハーバード・ビジネス・パブリッシング「Innovating Tradition at Hosoo」のケーススタディーとして掲載。2020年「The New York Times」にて特集。テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」「ガイアの夜明け」でも紹介。日経ビジネス「2014年日本の主役100人」、WWD「ネクストリーダー 2019」選出。Milano Design Award2017 ベストストーリーテリング賞(イタリア)、iF Design Award 2021(ドイツ)、Red Dot Design Award 2021(ドイツ)受賞。9月15日に初の著書『日本の美意識で世界初に挑む』を上梓。