利上げ観測下の決算発表シーズン、注目点は?Photo:Spencer Platt/gettyimages

 決算発表シーズンが今週から始まる。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを前倒しするとの観測に揺れる米株式市場に次なる試練がやって来る。

 先週5日には、FRBが3月にも短期金利を引き上げる可能性があるとの報道を受けて、米株式相場が下落。その後も週の終わりまで連日値を下げた。S&P500種株価指数は2021年には27%上昇したが、2022年の第1週は1.9%下げた。テクノロジー株の比重が大きいナスダック総合株価指数は昨年2月以来最大の下げ幅を記録した。一方で、10年物の米国債利回りは1.769%に上昇し、2020年1月以来となる高水準を付けた。

 金利が下がると投資家は高いバリュエーションの株に対して積極的になる。2020年にFRBが指標金利をほぼゼロに引き下げると株のバリュエーションは急上昇した。2021年には株価収益率(PER)は長期の標準値は上回っていたものの、じわじわと下がり始めた。今は利上げが視野に入り、PERがさらに縮小する可能性があるため、投資家は戦略を見直している。つまり、株式市場が引き続き上昇するには利益の伸び率が極めて重要になるということだ。

 BMOウェルス・マネジメントのマイク・ストリッチ最高投資責任者(CIO)は「現在のPERの水準からすると、株価上昇を維持するのに必要なのは安定した成長だ」と話す。「金利が上がらなかったとしても、人々が利益1ドルに支払ってもいいと思う金額の上限に達していると思う」とストリッチは指摘した。

 今週は多くの金融機関が決算発表を予定している。14日発表予定のJPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴは米国経済の健全度を測る指標となるだろう。13日発表のデルタ航空の決算は、新型コロナウイルス感染者の急増に対する航空各社の対応を分析する上で参考になるかもしれない。