定年前後のお金の手続きなどをやさしく解説した著書「定年前後のお金の正解」に、「分かりやすい」「自分の場合の正解が分かった!」などと多くの感想が寄せられている税理士でシニアマネーコンサルタントの板倉京さん。定年前後のお金の手続きは、会社も役所もていねいに教えてくれないので、知らないままに大損している人も多いのです。本連載では、板倉先生が、実際に定年前後のクライアントから多く相談されるお悩みをランキング形式で挙げながら、その解決策を本の中から紹介していきます。定年が視野に入ってきた人は、必ず知っておくべき最低限のポイントです。是非、ご参考に!

【定年前後のお金のお悩みBEST5 第2位】<br />住宅ローンは退職金で<br />一括返済すべきか否か?Photo: Adobe Stock

「金利」と「手元資金の額」によって判断する

 退職時に住宅ローンが残っている場合、退職金で一括返済したほうがよいのかどうかは、専門家の間でも意見が割れることが多く、悩まれている方が非常に多い問題です。

 私がお客様におすすめするのは、「前提条件によって判断する」という方法です。

 たとえば、60歳時点でローン残高が1800万円、70歳で完済予定のAさんとBさんがいたとします。

 ただし、前提条件は違っていて、

・Aさんは0.8%の金利で月に15万6000円返済、手元資金は3000万円。
・Bさんは2.5%の金利で月に17万円返済、手元資金は4000万円。

 とします。

 一括返済するべきか否かの判断のポイントは、「金利」と「手元資金の額」です。