定年前後のお金の手続きなどをやさしく解説した著書「定年前後のお金の正解」に、「分かりやすい」「自分の場合の正解が分かった!」などと多くの感想が寄せられている税理士でシニアマネーコンサルタントの板倉京さん。定年前後のお金の手続きは、会社も役所もていねいに教えてくれないので、知らないままに大損している人も多いのです。本連載では、板倉先生が、実際に定年前後のクライアントから多く相談されるお悩みをランキング形式で挙げながら、その解決策を本の中から紹介していきます。定年が視野に入ってきた人は、必ず知っておくべき最低限のポイントです。是非、ご参考に!

【定年前後のお金のお悩みBEST5 第3位】この「金融商品」を買って本当に大丈夫か?Photo: Adobe Stock

「この商品のリスクは何ですか?」と必ず聞く!

 定年で大きな額の退職金が入ってくるとなると、金融機関があの手この手で金融商品を進めてきます。そこで、「本当にこの商品を買っていいの?」「本当にこの投資は得になるの?」と相談に来られる方は後を絶ちません。

 おすすめの投資は本書にも書いておりますが、ここでは、損をすることになる可能性が高い「やってはいけない投資」について簡単にまとめておきます。

 まず第一に、利回りが3%以下の不動産投資です。

 定年後に「退職金で不動産を買って不動産賃貸業を始めたいと思っている」というご相談も非常に多いのですが、一番やってはいけないのは「利回りの悪い不動産を買うこと」です。

 利回りとは不動産購入価格に対して、年間に生み出せる利益の指数です。2000万円で買ったマンションで年間60万の家賃をかせげば「表面利回り」は3%になりますが、実際には固定資産税や借入利息、管理費、修繕費などがかかるので「実質利回り」はもっと低くなります。表面利回り3%では、ほとんど手取りは期待できません。ひどい場合にはローンを返すために預金を取り崩す人もいます。

 もともと不動産の表面利回りは6%を目安にすればよいと言われていますが、今は不動産価格が高騰しているため、なかなかそんな物件は見つかりませんし、また見つかったとしても本当に空室にせずに賃貸を回せるのかを慎重に検討しなければなりません。

 また、不動産投資から得られる利益には、「家賃による利益」だけでなく「買った金額よりも高く売れた場合の売却益」もありますが、こちらも不動産価格がバブル並みに高くなっている現状では売却益が出る可能性も低くなります。不動産投資には不向きな状況であると考えたほうがいいでしょう。

 もうひとつ「やってはいけない」のが手数料の高いファンドラップや投資信託です。

 金融機関が力を入れてすすめる商品の共通点は「手数料が高い」こと。高利率の定期預金と抱き合わせの投資信託やファンドラップなども、手数料を必ず確認してください。

 手数料には購入する時にかかるものと運用する期間ずっとかかるものがありますが、手数料2~3%なんていう商品もざらにあります。これではたとえ運用利回りが2%出ていても元本割れしてしまいます。

 また毎月分配型の投資信託や外貨建ての保険も要注意商品です。

 詳細は本書に書いておりますが、投資の基本は「理解できない投資には手を出さないこと」。わからない時には「この商品のリスクはなんですか?」と営業マンに正直に聞いて、自分が分かるまで説明してもらうことが大事です。

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