金利と手元資金の額の目安は……

 Aさんの金利は0.8%なので10年間で約74万円弱の負担なのに対し、Bさんは10年間で約236万円も利息を負担することになります。

 またAさんは、手元資金が3000万円なので、1800万円を一括返済すると、手元資金は1200万円になってしまいますが、Bさんは手元資金が4000万円ありますので、一括返済しても2200万円の現金が残ります。

 これを総合的に判断すると、Aさんは一括返済する必要はなく、Bさんは一括返済したほうがよい、となります。

 Aさんのように今借りている住宅ローンが1%程度の低金利のものであれば、基本的には一括返済する必要はないでしょう。それで資金に余力が生まれたら積立投資などの運用に回すのがおすすめです。積立投資では長期投資で3~4%の利回りが期待できるといわれていますから、ローンで払う金利以上の利益を生める可能性があるからです。

 しかも、利息には通常、団体信用生命保険(団信)の保険料も含まれています。団信は、借りている人が亡くなったらローンを返さなくてもよくなる保険です。金利が安いのであれば、今から保険に入るよりも割安に保険に加入している、と考えることもできます。

 一方、Bさんのように高い金利を負担している場合は、一括返済がおすすめです。目安としては、1.5%以上の利率で100万円を超える利息を負担するような場合。また、Bさんは手元資金が一括返済しても手元資金が2200万円残りますから、この面でも安心です。

 ただし、一括返済すると手元資金が2000万円を切ってしまうような場合は、老後資金として少々心もとなくなるので、金利の低いローンへの「借り換え」や「繰り上げ返済」も検討しましょう。

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