亀澤宏規・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長かめざわ・ひろのり/1961年生まれ。86年東京大学大学院理学系修士課程修了後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。米州本部副本部長、デジタル推進の最高責任者などを歴任し、2020年4月より現職 Photo by Kazutoshi Sumitomo

2021年、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は米地銀MUFGユニオンバンクを売却すると発表した。伝統的な事業であるだけに、MUFGの今後の米国戦略は大きな転換期を迎えそうだが、売却を決断した背景には何があるのか。亀澤宏規社長に直撃した。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

三菱UFJの亀澤社長が米地銀売却の理由語る
赤字ではないもののROE改善を引っ張れず

――グループ傘下のユニオンバンクを競合のUSバンコープに売却すると昨年9月に発表しました。その狙いは何でしょうか。

 ホールセール(大企業向け事業)に集中するためです。米国のリテール(個人・中小企業向け事業)の収益性がなかなか厳しく、別に赤字だったわけではありませんが、リスク・リターンでは満足していませんでした。

 われわれは今、中期経営計画でROE(株主資本利益率)7.5%を目指しています。米国は成長市場なので、当然7.5%よりも高い数字で引っ張ってほしい。しかし、ユニオンバンクの近年の実績では足りていません。