昨年の衆議院選挙を受け、立憲民主党(以下「立民」)は執行部が刷新されたものの、参議院選挙に向けて勢いが出ているとは言い難い。立民の支持母体である日本労働組合総連合会(連合)にとっては、トヨタ自動車グループの労働組合が選挙や春闘で独自の動きをしていることも気がかりだ。コロナ禍の収束も見通せず、先行き不透明な状況が続く中、連合は2022年をどう戦っていくのか。会長の芳野友子氏に話を聞いた。(インタビュー・構成/ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
立民新執行部に求める社会像とは
――衆院選で立民が議席を減らしたことについて、芳野会長は「立民がどういう国・社会を目指すのかがわかりにくかった」と述べています。泉健太代表には、どのような国・社会を目指してほしいと考えていますか。
連合が目指す国・社会は、「働くことを軸とする安心社会」です。働くことに最も価値を置くということ、そして誰もが、公正な労働条件の下で多様な働き方を通じて社会に参加ができ、社会的・経済的に自立することを軸としています。
この社会像は、お互いに支え合い、自己実現に挑戦できるセーフティーネットが組み込まれている、活力ある参画型の社会であると位置付けています。
社会経済の持続可能性と、健全な民主主義社会の維持には、分厚い中間層の形成が重要です。現在、世界では格差が拡大しており、社会の分断が民主主義体制の分断を招いている国もあります。そういった時代だからこそ、立民には、自助努力・自己責任ということではなく、社会全体の利益や、助け合い支え合うことに価値を置くような国・社会を目指してもらいたいと考えています。
立民と国民の「合流」は?
――連合は立民と国民民主党(以下「国民」)の合流を呼び掛けていますが、両党の考え方には隔たりがあるようです。両党が合流、もしくは選挙協力した場合、衆院選同様、立民の描くビジョンが不明確になってしまうことはないのでしょうか。