みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#40では、みずほの「人事暗黒史」を振り返る。3行の対等合併という悪平等、そして統合前夜の想定外のトップ人事――二つの過ちと共に生まれたみずほという巨大銀行は、発足当時から続く“3”の呪縛から逃れられずにいる。たった一つの人事が組織を駄目にすることがある。みずほでは“政変”によって2人の権力者が生まれ、歯車が狂った。

「週刊ダイヤモンド」2013年11月2日号の緊急特集「みずほ なぜ過ちを繰り返すのか」を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

巨大銀行の歯車を狂わせた
統合前の首脳9人総退陣劇

 かつて、首脳9人総退陣という“政変”があった。みずほホールディングス(HD)にぶら下がっていた日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行の旧3行が統合する直前の2001年11月末のことだ。

 この人事こそが、みずほという巨大銀行の歯車を狂わせ、今日に至る混乱の歴史の幕を開けたといっても過言ではない。今、その内幕を明かす――。