「達成感」の積み重ねによって大幅な回復
上司や同僚、そして家族にはとても心配をかけたと思います。
だいぶ回復したとはいえ、まだいろいろなことに配慮してもらっていた時期でした。でも、熊本に行きたかったんです。
熊本は幹部候補生学校を卒業後の最初の赴任地、私の幹部自衛官としての「はじまり」の場所だったからです。
熊本では某師団司令部にて、災害派遣の部隊をいかに効率的に動かすかを考える役割を担当しました。
余震は続くし、久しぶりの野外での活動という過酷な環境でしたが、なんとかやり遂げることができました。
メンタルダウン後に司令部での勤務ができた、最初の赴任地に対して恩返しができたという、この達成感は大きな自信につながりました。
この経験から自分でも驚くほど回復していきました。そして、メンタルダウン以前と同じくらい仕事ができるようになったころ、忌まわしい記憶とサヨナラするために転職しました。
メンタルが凹んでいるときは、ネガティブな情報に引っ張られてしまいます。でも、人生が終わることなんてないです。
私の経験はあくまで一例です。少ない例かもしれませんが、「一度メンタルダウンすると終わり」は絶対ではないことを知っていてほしいです。
(本原稿は、わび著『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』から一部抜粋・改変したものです)