スポーツ界でもメンタルヘルスは重要、アスリート自ら声を上げる時代にPhoto:Clive Brunskill/gettyimages

 直近の例で言えば東京2020夏季オリンピックにて、体操界のスーパースターであるシモーネ・バイルズが精神的ストレスを理由に競技を途中棄権したことが記憶に新しいでしょう。このことは、自身のメンタルヘルスを最優先した大会として永く語り継がれるに違いありません。

 今回の記事では、“エリート”と呼ばれる高次元で競うスポーツ選手が抱える精神的苦難に焦点を当て、過去に問題に直面した経験を持つアスリートや選手を支えるスポーツ心理学者、そしてパフォーマンスコーチなどの証言から、トップアスリートとしてのみならず、ひとりの個人として「メンタルヘルス」を維持するために何が有効であるか? などを考えたいと思います。

 2021年7月23日(金)~8月8日(日)の期間に開催された東京2020夏季オリンピック。その盛り上がりが最高潮に達しようしていた最中、金メダルの最有力候補と目されていたアメリカ代表女子体操選手シモーネ・バイルズの棄権が発表されたことを覚えている人も多いことでしょう。