箱根駅伝Photo:JIJI

厚底シューズを視聴者に見えないようにしたテレビ

 駒澤大学が逆転優勝を果たした2021年の箱根駅伝。2日間、約11時間をほぼテレビの前で過ごしたが、“知りたいことは何も教えてくれない不親切な実況アナウンサー”に、わかってはいたけれどストレスを感じまくりの観戦となった。

 安い感動を再生産して毎年視聴率を稼ぎ、大学スポーツを大学生と関係ない大人たちの錬金イベントに仕立てあげている箱根駅伝。そのためか、視聴者に見えているのに絶対触れない話題があり、視聴者が見たいのに見えないようにカメラアングルを工夫していることがある。

 例えば厚底シューズ。昨年のレース後は、ナイキの厚底シューズが話題となり、テレビの情報番組でも盛んに取り上げられた。今年もナイキなのか?他社製品は伸びているのか?

 ジョガーならずとも気になるテーマだが、私が見ていた限り、この話題に実況アナウンサーはほとんど触れなかった。ネットでは当然、使用率をめぐる情報が飛び交っていた。スポーツ報知によれば、『6区の出場21選手は全員がナイキの厚底シューズを使用した。前回大会に出場した210選手中177人(84.3%)がナイキの厚底シューズ「ズームXヴェイパーフライネクスト%」を使用。今回大会往路では105選手中99人(94.3%)がナイキの厚底シューズを選択。』とあった。

 テレビ観戦では、この分析は難しかった。なぜなら、走者のほぼ全身が映っても足下だけは切れていた、正面から映しても横からは全身をなかなか映さない。つまり、シューズのラインがばっちり映らない工夫がされていたように感じられた。