「台湾有事」を防ぐには「現状維持」しかないPhoto:PXITA

ハト派首相の下で進む
防衛政策の“大転換”

 政府は1月7日の日米外務・防衛閣僚協議「2プラス2」で「防衛力の抜本的強化」を表明、中国に対し日米とオーストラリアが共同して対抗する決意を強調するなど、これまでにないほどの強硬路線に乗った。

 今年は2013年に閣議決定した基本理念「国家安全保障戦略」を見直し、約10年先までを見通す新たな「防衛計画の大綱」と、5カ年の「中期防衛力整備計画」も策定される。

 計画初年度に当たる来年度防衛予算は「GDPの2%以上」に急増することになりそうだが、これらの防衛政策の転換は憲法9条の改正以上に実質的な意味が大きい。

 自衛隊の存在を憲法に明記しても、ほぼ現状の追認だが、防衛費をGDPの2%にすれば、日本の防衛費は米国、中国に次ぐ世界第3位となり軍事大国の一員となる。

 今年度の防衛予算は、補正予算を含む6兆1160億円(GDPの1.092%)だが、GDPの2%となると、一挙に12兆円(約1000億ドル)に達する。昨年のロシアの617億ドルの約1.6倍だ。

 日本は第2次世界大戦後77年間、「平和国家」を標榜し、おおむね控えめな防衛政策を取ってきたが、22年は日本の防衛政策大転換の年となる。