ポエム風広告はなぜ生まれるのか、モンスターエナジーやマンションの「魅力」Photo:Justin Sullivan/gettyimages

数年前から話題になっている、不動産広告にありがちな「マンションポエム」。エナジードリンクが好きな筆者は、エナジードリンクの広告にもたまに見られるポエム調が気になっている。(フリーライター 武藤弘樹)

缶に記載されている独特の文章
『野性を解き放て!』

 筆者はエナジードリンクが好きで、よく飲む。積極的にギアを一段階引き上げに行っている気分が心地よく、ポテンシャルを大幅に引き出してくれる感覚になる。原稿の締め切り直前は当然エナジードリンクをキメるし(今まさしく飲んでいる)、掃除の前に飲めば、掃除機はうなりを上げて家中を駆け巡り、雑巾がけは左右二丁持ちが可能となる。
 
 しかし、該当の商品を買ったことがある人ならご存じだろうが、エナジードリンクは缶の側面によく分からぬ文章を記載しているケースが多い。ためしに、ちょうど今筆者の手元にある「モンスターエナジー」のスーパーコーラ(500mlボトル缶)に記載されている文章を紹介してみたい。

『Monster Super Colaのヤバさを詰められるのは、このボトルしかなかった。

さあ、このスーパーサイズのボトルを開けて、爆発的なパワーを感じてくれ。ただし、超滑らかでさわやかな味わいに惑わされるな。
Monster Super Colaは、伝説のエナジーブレンドをフルに搭載し、ハイパフォーマンスを出すために最適化されているからだ。

このリキャップできる便利なボトルで、いつでもどこでも、気合を注入し続けろ。野性を解き放て!

Unleash the Beast!』

 一体、この文章はなんなのか。どのような経緯があって、この文章が記載されるに至ったのか。本当に必要なのか。
 
 この文章と同種のものに、数年前から認知されるようになった“マンションポエム”がある。マンションなどの高級物件の不動産広告に見られる文である。
 
 これらを合わせて、なぜこのようなえせポエムが生み出されるのかについて、自分なりに考察していきたい。
 
 なお、本職詩人の方の中には、こうした日常離れした文章を揶揄(やゆ)して“ポエム”と呼ぶことを悲しく思う人がいるそうだ。それもそうだという気もするので、本稿では“ポエム”と言い切らずに書き進めたい。