シリーズ累計159万部を超え、ビジネスパーソンの圧倒的な支持を集める「グロービスMBAシリーズ」。シリーズ最新刊『グロービスMBAミドルマネジメント』は、初めて部下を持つ人が押さえておきたい知識を網羅した1冊だ。今回、『グロービスMBAミドルマネジメント』に興味を持ち、実際に本書を読んだグロービス経営大学院の方3名に、その感想や活用方法を伺った(取材・構成/肱岡彩)。

変革のカギとなる「抵抗勢力」のマネジメントを学ぶ<br />Photo: Adobe Stock

変革を推進するマネジャーが直面する課題

――馬場さんは現在、DXを推進する部署でお仕事をされているそうですね。

変革のカギとなる「抵抗勢力」のマネジメントを学ぶ<br />馬場英鷹(ばば・ひでたか)
株式会社しんきんカード勤務。事務統括部事務企画課にて、DX推進や業務の品質管理に携わる。

馬場英鷹(以下、馬場):はい、クレジットカード会社に勤務しており、この1年ほど、業務改革プロジェクトに関わっていました。現在はそのプロジェクトで提案した改革案件を、該当する各部署と連携して、実行に移す取りまとめをしています。

――各部署を巻き込み、動いてもらうことは、非常に大変そうですね。

馬場:そうなんです。各部の部門長、課長、先輩の担当者と、私よりポジションパワーが強い方々に行動して貰い、進捗を管理する立場ではあるので……自分で言うのもなんですが、非常にハードルが高いです(笑)。

 各部署の人たちに「こうやって実行していきましょう」と方向性を理解してもらったり、「なんでこんなことをやらなきゃいけないんだ」と不満の声を持つ人を説得したり…。なので、この本の第7章「変革のマネジメント」が、読んでいて一番刺さりました。

――この7章をどのように読まれましたか。

馬場:グロービスのMBAシリーズは、冒頭にケースが入っていますが、この章はケースにも感情移入しましたね。グロービス経営大学院に通っているので、「レヴィンの変革モデル」「コッターの8段階の変革プロセス」「7Sのフレームワーク」など、授業を通して知っているものもありました。そういった知識と自分が取り組んできた業務を結び付けて、抜けていた視点を確認しながら読んでいきました。

 こういった知識を得て、どのように変革を進めていくのか、整理するのは案外簡単なんです。ただ、実際に変革業務に取り組んでいると、どうしても「感情」が入ってきます。「なんでわかってもらえないんだろう」とか、「なんでこんな反応が返ってくるんだろう」とか。

 変革の過程では、皆が今まで正しいと思っていたオペレーション方法を、否定する場面も出てきます。相手にも感情があるので、一筋縄ではいきません。

――そうした難しさに対して、役立ちそうな部分はありましたか。

馬場:「抵抗勢力への対応」という部分が参考になりましたね。今振り返ってみれば、変革の場面では、個別の感情に配慮して、1対1で話をできる場面が、実はあまりありませんでした。1対多数だったり、多数対多数になりがちで、この説明はAさんには刺さったけれど、Bさんにはなかなか刺さらないということも多々ありました。

「抵抗勢力への対応」で紹介されているアプローチは、正直実践するのは難しいと思う部分もあります。けれども、例えば「Aさんには『教育とコミュニケーション』といったアプローチが良さそうだ」「Bさんには『交渉と合意』のアプローチがいいかもしれない」など、相手の状況や心理に合わせて、自分のアプローチを変える余地があったのではないかと思いました。

――他にも、何か実践に活かせた部分はありましたか。

馬場:第3章の「人のマネジメント」ですね。自分があまりこの部分は強くないという認識があったので、勉強になりました。変革をすすめるにあたって、最後は人で、いかに動機づけて、動きたいと思ってもらえるのかが重要になると思っています。役員や部門長が「変えよう」という意思を持っていても、現場はそう思っていないかもしれない。80ページの「モチベーショ3.0」の話など、仕事に活かせると感じました。

――最後に、本書のおすすめの読み方を教えてください。

馬場:まず、この本を読んで、自分は本に出てくる事項ができているかどうかを確認するのがおすすめです。そして、もう一つおすすめなのが、上司や隣の部署の人たち、同世代のマネジメント手法などと、この本の内容を照らし合わせるという読み方です。私はうまく回っている部署、つまずいている部署などの状況を観察して、その要因を考えています。それが、自分のマネジメントを向上させる上でも、役立つと思います。