オミクロン株の感染が広がる中、
政府高官が大規模パーティーに参加していた

 2021年末から、香港でもオミクロン株の市内感染が話題に上がり出した。12月末には航空会社の職員が乗務勤務後の隔離期間中に外出したことがきっかけで、市内にクラスターが出現。1月4日に陽性が確認されたそのうちの女性1人の足取りを調べたところ、感染が確認された前夜の3日夜に100人以上が集まる誕生パーティーに出席していたことがわかった。濃厚接触者の可能性があるその出席者を確定すべく、調べていくうち、出席者には香港政府の高官や立法会議員がいたことが判明した。

 出席者リストの中でも特に注目されたのが、區嘉宏・入境事務処処長と鄧以海・税関関長の二人。というのも、彼らは昨年3月にも、5人以上の同席飲食を禁止するコロナ対策の真っ最中に、中国の不動産会社による接待を受けて9人で会食していたことが明らかになっていたからだ。コロナ対策無視もさることながら、高官らが中国企業の関係者と会食していたことは政府には報告されておらず、本来なら汚職取締局(ICAC)が捜査すべき案件だった。だが、税関や入境処を管轄する保安局長は、すでに彼らが謝罪して罰金を納めたことを理由に処分は行わないと発表し、ケリをつけた。もちろん、世論は収まらなかったが、その教訓はなんの意味も持たなかったことが今回明らかになった。

 さらに市民を驚かせたのは、出席者に徐英偉・民政事務局長が含まれていたことだった。民政事務局は政府の民政担当責任者であり、さらに傘下には政府の報道官を置いている。その民政事務局長が、オミクロンが大流行の兆しを見せ、その週の後半には市内飲食店すべてで夜の営業禁止措置が始まることがすでにわかっていた時点で、大規模パーティーに出席していたとは……。

 またこのパーティーに出席した後で深センに向かい、前述した中国政府の要人を訪問した議員もいたことが明らかになった。こうして衝撃的な名前が次々と出てくる中、林鄭月娥行政長官は異例の緊急記者会見を開き、事態究明に力を入れると宣言。特に徐民政事務局長を名指しして「大変失望した」と強い口調で非難した。