新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、日本初の経口抗ウイルス剤「ラゲブリオ」の存在感が高まっている。製造販売する米メルクの日本法人MSDの医薬情報担当者(MR)はさぞや誇らしげかと思いきや、その表情はさえない。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
クリスマスイブに特例承認
MR冥利に尽きるはずが……
2021年12月24日。クリスマスイブのこの日、新型コロナウイルス感染症禍が続く日本に、プレゼントがもたらされた。
メガファーマ(巨大製薬会社)の一つ、米メルクの日本法人であるMSDが承認を申請していた経口抗コロナウイルス剤「ラゲブリオ(一般名モルヌピラビル)」を国が特例承認したのである。オミクロン株感染が急拡大するタイミングでの承認だった。
年が明けると、米ファイザーが経口抗コロナウイルス剤を日本で承認申請し、塩野義製薬も承認申請間近。それでも、1月25日時点で国内承認を得ているのはラゲブリオだけだ。
MSDの医薬情報担当者(MR)は自社発の画期的製品を取り扱えて「MR冥利に尽きる」はず。だが、その表情はなぜかさえない。