株式投資で資産を築き、入社4年目の26歳でFIREを果たした『投資をしながら自由に生きる』の著者が、最速で「お金と時間の自由」を得るための秘策を教える。これは一般的なFIREとは、まったく別の概念だ。FIRE達成者の多くは、ひと通り自由を味わうと暇を持て余して、結局は仕事をするようになりがち。そこで時間と場所に縛られない極めて自由度の高い仕事をしつつ、経済的自由を謳歌するたった1つの方法(投資×小さな起業)を伝授!

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STEP 5 新たなビジネスオーナーになる

【前回】からの続き。

「写真プリントサービス」の大失敗からは、多くのことを学びました。

その教訓を活かして、私はビジネスの方向性を次のように転換しました。

個人のビジネスで重要な3つのポイント
①先にお客さんを見つけてからサービスを提供する
②高単価かつ高付加価値のサービスを提供する
③収入が継続的に入る「ストック型ビジネス」を構築する

失敗した「写真プリントサービス」は、お客さんのニーズがあったわけではなく、私がニーズがあるだろうと考えて、やりたいと思ったサービスでした。

その点を反省し、「自分がやりたいサービス」ではなく、「お客さんのニーズがすでにあるサービス」という発想に切り替えました。

そして、採算のとりにくい低単価のサービスには手をつけず、お客さんが少なくても採算がとりやすい高単価のサービスだけを扱うことにしました。

なおかつ、単発の取引で終わってしまう「フロービジネス」ではなく、一度契約すれば継続的に収益の上がる「ストック型ビジネス」に的を絞りました。

具体的には、私の知り合いに「有料会員サイトをつくって情報配信をしたい」という経営者がいたので、サイトの構成や仕様を考えて、それを外部のエンジニアに開発してもらいました。

また、会社員時代に新卒採用を担当していた経験を活かして、企業の人事コンサルタントや採用業務の継続的な契約も結びました。

一方で「投資を教えてほしい」という知人が複数いたので、月1回の投資勉強会を開いて、私自身のこれまでの投資経験や注目している業界、会社などの情報を共有しました。

いずれもまわりの人が喜んでくれることを「付加価値」と考えて、会社員時代の経験や投資家としての経験をベースに、継続的な価値を提供し続けられる「ストック型ビジネス」のみにリソースを集中しました。

有料会員サイトをつくる場合、一般的にはシステム開発の初期費用として、最初にまとまった金額を見積もる会社が多いのですが、私はあえて初期費用を最低限に設定。そのかわり、有料会員サイトの収益の一部をシェアするという条件で契約しました。

そうするとサイトが完成したら終わりという単発の収益ではなく、お客さんと一緒に有料会員を増やして、中長期的に売り上げを伸ばしていく継続的な収益につながるのです。

このとき、自分とお客さんとの利害関係を一致させることが、とても大事なポイントになります。

利害関係が一致する提案をすることで、ビジネスを中長期的に継続することができるようになるからです。

いったんサイトを構築したあと、有料会員数を増やすために改修が必要になっても、利害関係が一致していれば、雑な改修になることもなく、お客さんのリスクも低くなります。

目の前の単発の収益ではなく、継続的な収益を追求する発想は、まさに「投資」です。

継続的な関係を築いたお客さんとは、長くビジネスを続けることができますし、契約1つひとつが継続的にお金を生み出す「資産」になるのです。

「お客さんが求めるサービスを提供し、お客さんと利害関係を一致させる」

このように発想を切り替えたことで、最初の大失敗が信じられないくらいに、ビジネスが好転し、拡大していきました。

単価を上げれば上げるほど、より高い付加価値を提供する必要があります。そのため、提供する商品やサービスの質もどんどん洗練されていきます。

単価だけ高くて付加価値が低ければ、その商品やサービスは見向きもされず、誰もお金を払ってくれません。

また、単価を高くすることで、価格だけで判断するお客さんを自動的に排除することができます。そうすると、自分の商品やサービスの付加価値を理解してくれたお客さんだけが残るため、トラブルやクレームなども減り、その分、運営コストも下げられます。

自分が高い付加価値を提供し続けている限り、お客さんと中長期的に良好な関係を築くことができるのです。

お客さんを選べば選ぶほど、ビジネスが安定するということをここで知りました。