株式投資で資産を築き、入社4年目の26歳でFIREを果たした『投資をしながら自由に生きる』の著者が、最速で「お金と時間の自由」を得るための方法を伝授する。その方法は、一般的なFIREとは、まったく別の概念だ。FIRE達成者の多くは、いずれ何らかの仕事をするようになる。ひと通り自由を味わうと暇を持て余してしまい、社会とのつながりを得るためにも、結局は仕事をするようになるのだ。ならば、最初から時間と場所に縛られない自由度の高い仕事をしつつ、経済的自由を謳歌する方法を選択するべき。本当の自由を最速で得るたった1つの方法、それは「投資×小さな起業」だ。

ビジネス 失敗Photo: Adobe Stock

STEP 4 ビジネスの失敗から学ぶ

【前回】からの続き。

自信満々で立ち上げた写真プリントサービスでしたが、実際にやってみると驚くほど売り上げは伸びませんでした……。

最初に実感したのが、事業計画は結局のところ“机上の空論”でしかないということです。どれだけ時間をかけて綿密に事業計画を練っても、実際にやってみると、必ずといっていいほど想定外のことが発生します。

時間をかけて完璧な事業計画をつくるくらいなら、とりあえず試しにやってみるほうが、はるかに大事だということに身をもって気づかされました。

何が問題なのかは、実際にやってみないとわかりません。小さな規模でやってみれば、たとえ失敗しても傷は浅いし、うまくいったら徐々に規模を拡大していけばいいだけです。

また、会社員として新規事業を立ち上げるのと、個人で新規事業を立ち上げるのでは、やるべきことがまったく違うことにも気づかされました。

会社員として新規事業を立ち上げる場合、すでに会社に紐づいているお客さんがいる状態で企画が進みます。

仮に、新たな市場を開拓する場合でも、広告やマーケティングのチームがあるため、新しいサービスの「企画」だけに専念することができます。

会社員だった頃は、新しいサービスを立ち上げて、プレスリリースを出すなどすれば、最初からある程度はお客さんが集まりました。しかし、それは会社が積み上げてきた実績や信頼、ブランド力に、お客さんがすでに紐づいているからなのです。

しかし、個人で起業すると、お客さんは1人もいません。「お客さんゼロ」の状態からビジネスをはじめなければならないのです。

いかに完璧なサービスを立ち上げても、誰もそれを使ってくれませんし、そもそもサービスを認知してくれません。

起業したばかりの人にとっては、「お客さんを集める」ことが、想像以上に大きなハードルになります。

この「自分でお客さんを見つけてくる必要がある」という点が、実は個人がビジネスを立ち上げるうえでの最大の障壁なのです。

逆に考えると、自分でお客さんを見つけられれば、たいていのビジネスはうまくいきます(このことには、のちのち気づきました)。

それだけ「集客」というのは、重要なポイントなのです。

実際に自分で事業を立ち上げてみて、会社員時代の組織のありがたみを痛感させられました。

これは会社組織のなかで働いていたら、なかなか気づかないことです。

さて、私が立ち上げた「写真プリントサービス」は、まったく集客できず、売り上げが立たない状態が続きました。

集客のため、ネット広告の出稿も検討したのですが、月額580円という低価格もあって、採算がとれない可能性が高いことが判明……。ネット広告費が想像以上に高いこともはじめて知りました。

企業のような資金力がなく、顧客もいない個人事業では、低単価のビジネスを成立させることは非常に難しいことを身をもって学んだのです。

売り上げを100万円立てるにしても、単価500円だと、2000人を集客しなくてはなりません。

しかし、仮に単価10万円のサービスであれば、10人集客するだけで売り上げ100万円を達成できます。

顧客獲得コストを考えると、低単価のビジネスは個人が絶対に手を出してはいけない領域だったのです。

ネット広告を出稿しても採算がとれないため、何か別の方法がないかと模索しました。

試しにビラを1万枚ほど刷って、それを自分で地道にポスティングしたりもしました。

しかし、ポスティングを続けながら反応を期待していたのですが、いっこうに新規ユーザーが増える気配はありませんでした。

汗水たらして大量のビラをポスティングしたものの、そこからの登録者は、なんとゼロだったのです……。

ビジネスモデルとしては完璧だと思っていたものの、集客コストと低単価が原因で想定外の苦戦を強いられ、「写真プリントサービス」は大失敗という結果になりました……。