Photo: AFP PHOTO / NYOMAN NUARTA2022年1月18日、インドネシア人彫刻家のニョマン・ヌアルタ氏が発表した、東カリマンタン州に新たに建設される大統領府のCGイメージ。現在の首都ジャカルタからは約2000km離れた、今はジャングルに覆われている地域だ  Photo:AFP PHOTO / NYOMAN NUARTA

インドネシアで、壮大な首都移転計画が本格的に動き出そうとしている。東京より大きなサイズの新首都を建設し、ジャカルタから遷都しようというのだ。東京一極集中からなかなか抜け出せない日本では「英断だ」との評価が多いが、実情はどうなのだろうか。(中国・ASEAN専門ジャーナリスト 舛友雄大)

新都市「ヌサンタラ」を建設、
2045年にジャカルタから遷都

 1月18日、インドネシア国会は首都をジャワ島にあるジャカルタからカリマンタンに移す根拠となる「首都移転法案」を可決した。コロナでここ2年ほど事実上の凍結状態にあったプロジェクトが一歩前進したといえる。

 東南アジアの地域大国インドネシアは、ジョコ大統領のリーダーシップの下、建国100周年に当たる2045年に世界の5大経済大国になるという青写真を描いており、同じ年に今回の遷都も完了予定となっている。具体的には、東カリマンタン州の北プナジャム・パスール県とクタイ・カルタヌガラ県にまたがる国有地を含む地域に新首都「ヌサンタラ」を建設する。2022年末から2024年までに政府機能を移転し、公務員50万人を移動させる。

 インドネシア、ブルネイ、マレーシアの3カ国が同居するカリマンタン島(ボルネオ島)は日本の面積の2倍近い広さを誇る。多様な生態系が維持され、「地球の肺」の異名を持つ熱帯雨林が広がる。一方、東カリマンタン州には道路がちゃんと舗装された都市もあり、建設予定地はなだらかな丘陵地帯だ。近くにはオランダ統治時代から石油精製所が設置されている港町バリクパパン市(人口約70万)がある。