その点、インデックスファンドへの投資は、国内外の投資家による売買の結果にタダ乗りすることができるので、楽な投資と言えますが、投資が楽な分、インカムゲインがメインとなり、10年以内にFIREするのは難しいです。
年収1000万円以上稼いでいるハイスペックサラリーマンが支出を限界まで減らし、貯金した全額を投資信託で運用した場合は、インカムゲインがメインでも10年くらいあれば十分にFIREすることは可能だと思いますが、現状の日本の正規労働者の平均年間給与は503万円、手取り額で年収約393万円のサラリーマンが10年以内でFIREするのは非現実的な気がします。
アメリカよりも早く可能!?
日本なら15年くらいでFIREできる
一般的なアメリカのFIRE関連の書籍では、大前提として4%以上の運用利回りを目指しています。
理由は、アメリカのS&P500の成長率7%からアメリカのインフレ率3%を差し引くと4%なので、年間支出の25倍の資産を築いて4%で生活できれば、不労所得で永遠に生活できるという考えです。
時系列で説明すると、(1)手取り収入の50%で生活し、残り50%を投資して平均利回り4%(複利)で運用する。(2)資産が生活費の25倍になったところでFIREする。(3)そこからは資産の利回り4%の生活費で暮らすことで、資産額を維持できる。
アメリカの株式市場では、インデックスファンドで平均4%以上の平均利回りを確保するのは十分可能であり、インフレになれば株価も上昇するのでヘッジできるというわけです。
一方、日本でFIREしようと考えた場合、20%課税されるので、大前提として5%の運用利回りを目指す必要があります。日本は今のところインフレ率が0%なので、アメリカ株に投資して、今までどおりS&P500の成長の恩恵にあずかって5%で運用できたとすれば、20年でなく15年くらいでFIREを達成することができます。
収入の50%で暮らし、50%を投資に回すことも、共稼ぎで2人とも同じくらいの収入があれば、片方の収入で生活して片方の収入を確保することで可能になります。
円安リスクやインフレリスク、利回りが低くなるリスクがあったとしても、約20年かければ複利で資産運用することで、生活費の25倍の資産を築くことは容易にできます。今始めたとしても、自分の年齢に20歳を足して60歳以下なら、FIREは達成できます。
なんの投資もしていないまわりのサラリーマンに比べたら、十分に悠々自適な老後が送れることは間違いありません。
ただ「収入の50%も投資に回すのは無理」という人や「最低でも15年というのは長すぎる。もっと早くFIREしたい」と思う人は、自分の時間を使って副業で稼いでいくか、リスクを取ってキャピタルゲインで稼ぐ方法を考えていくしかありません。
投資信託だけで5年以内のFIREを目指すのは非常に厳しいということだけは覚えておきましょう。