当コラムでも述べたことがあるが、わが国の社会保障制度が確立された1961年と2010年を比較すると、1人の高齢者を支える勤労世代(15-64才)の人数は、11人強から3人弱へと激減した。その一方で、高齢者の平均寿命は、男性では66才から80才まで延びたのである。1人の勤労世代が、1人の高齢者を20年以上肩車して過ごさなければならない超高齢化社会は、もう目前に迫っているのだ。

 社会保障と税の一体改革を最後までやり遂げることなくして、(財政再建を含めて)わが国の将来展望は描けない。新政権には、3党合意を上手に活かして、社会保障改革を是非とも前に進めてほしいと強く願うものである。

中国等、近隣諸国との関係改善を

 エコノミスト懇親会のアンケート調査では、「規制緩和」、「社会保障と税の一体改革」に次いで「TPPへの参加」が要望されているが、喫緊の政策課題という意味では、中国や韓国を始めとする近隣諸国との関係改善の方が、はるかに優先順位が高いのではないか。

 何故なら、TPPは、今すぐにわが国経済に直接の影響をもたらすものではないが、近隣諸国との関係の悪化は、わが国の輸出入を直撃し、経済に大きな影響を与えるからである。

 中国は、この11月に習近平体制に移行し、韓国では、今まさに新人同士で大統領選挙が戦われている。日本も中国も韓国も指導者が交代する。これは、改めて原点から善隣友好関係を再構築するには、1つの良い機会ではないか。個人は自由に引っ越しができるが、国は引っ越しができない。この自明の事実をベースにして、新政権には、長期的な国益を見据えたリアリズムに徹して冷静な外交を展開し、少しでも近隣諸国との関係改善に努めて貰いたい。

 以上、喫緊の政策課題として、規制緩和、国民会議(社会保障改革)、外交について述べてきたが、中長期的課題として新政権には是非とも本腰を入れて取り組んでほしい、国の存亡に係る重大なテーマがある。言わずと知れた少子化対策である。少子化対策については当コラムでも縷々述べてきたが、わが国の高齢化のスピードを勘案するともはや待ったなしの状況にある。