「病まない生き方」を独自の視点で描いた『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』。読者からは「著者の実体験だからこそ説得力がある」「救われた」「今悩んでいる人に読んでほしい」という声も多数寄せられている。著者は、元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウンしたわび氏。「地獄を見た」という自身の経験から、メンタルを病まないための自衛術・危機管理の技術を学んでほしいと、心血を注いで書き上げた。今回は、本書の発売を記念し、『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』著者のバク@精神科医氏と特別対談を実施。最近メディアでも耳にすることが増えた「適応障害」になりやすい人の特徴、そしてストレスをためこまないための対策について聞いた。(取材・構成/川代紗生)

弱音を吐けない人ほど要注意!? どんな人でもなる可能性がある「適応障害」とはPhoto: Adobe Stock

自衛隊の厳しい訓練にも耐えた「強い」はずの自分が、なぜ?

バク:わびさんの書かれた『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』、めちゃくちゃおもしろかったので、今日の対談はすごく楽しみにしていました。とくに、自衛隊の方ならではの仕事の仕方なども明確で取り入れやすそうですよね。

わび:こちらこそ、バク先生にそう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。

バク:ただ、精神科医として驚いたのは、わびさん、よくこんなに耐えられたなと。普通の人ならとっくにギブアップしているような環境で、1年半もパワハラに耐え続けたんですもんね。

わび:メンタルダウンしたときには、まさか自分が、という感じでした。自衛隊の幹部自衛官として重要な仕事も任されていたし、成績も同期でトップクラスだった。東日本大震災の派遣なども経験し、上司からの評価も比較的よかったんです。

 嵐の中、4km泳いだり、雪の中100km歩いたり、厳しい訓練に耐えてきたからこそ、自分は「かなり追い込まれても大丈夫」だと思い込んでいました。

 今じゃ考えられないですが、当時は、精神疾患は甘えだと本気で信じていたんです。

弱音を吐けない人ほど要注意!? どんな人でもなる可能性がある「適応障害」とはわび
航空業界で働く危機管理屋。某国立大学卒業後、陸上自衛隊幹部候補生学校に入隊。高射特科大隊で小隊長になり、その後、師団司令部や方面総監部で勤務。入隊後10年間は順風満帆だったが、早朝から深夜までの激務と上司によるパワハラが重なり、メンタルダウン。第一線からの異動を経て、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、市役所に転職。激務だった自衛隊時代に比べると天国のような場所だったが、自らの成長の機会を得るため、転職後1年半で航空業界にキャリアチェンジ。給料は市役所時代の倍に跳ね上がった。自衛隊などの社会人経験で身につけたメンタルコントロール術、仕事や人間関係に対する向き合い方などを中心にツイッターで発信を開始。普通の会社員にもかかわらず、開始して2年でフォロワー数が8万人を突破。ツイートはネットニュースなどにも取り上げられ、人気を博している。2022年2月現在、Twitterフォロワーは12万人。『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』が初の著書。Twitter(@Japanese_hare)
弱音を吐けない人ほど要注意!? どんな人でもなる可能性がある「適応障害」とはバク@精神科医
元内科の精神科専門医
中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー5万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす​生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。