「うまい棒」がついに値上げ、駄菓子インフレが案外悪いことではない理由Photo:Diamond

似たような値上げ騒動は
70年代にも起きていた

 発売から42年間、1本10円の価格を維持してきたうまい棒が、ついに値上げに踏み切ります。今年4月の出荷分から1本12円へと20%の値上げになるのです。

 このニュースを聞いて私が思い出したのが、自分が小学校5年生だったときにショックを受けた、「あの記憶」でした。

 当時、1973年にオイルショックが起きた影響で、チロルチョコが10円から20円に値上げされたのです。

 オイルショックまでの私の少年時代、つまり1960年代から70年代初頭にかけては、子どもから見てもとても暮らしやすい、ある意味日本が豊かな時代でした。当時の小遣いは1カ月300円だったと記憶していますが、その頃は10円あればそこそこいい買い物ができた時代でもありました。

 まさに『ちびまる子ちゃん』に描かれている世の中で、ふつうのお菓子屋さんで売っているフーセンガムが3枚入りで10円、ポップコーンも1袋10円、仮面ライダースナックが1袋20円という世界でした。しかも、駄菓子屋さんでは物価はもっと安くて、1円玉でもあめ玉やガムなどのお菓子が買えたものです。

 チロルチョコは当時の駄菓子屋の人気商品でした。現在よく見かけるものとは形が違いました。3つ山でバー状のヌガー入りチョコが10円で買えたのですが、これが子ども心に割安感があった理由は、森永のハイクラウンチョコと大きさがだいたい同じだったからでした。