米マイクロソフトの巨大買収にみる、ザッカーバーグの「やられた感」Photo:123RF

マイクロソフトの巨大買収は
世界一に返り咲くための戦略

 めちゃくちゃ大きな経済ニュースが飛び込んできました。この記事を読み終えていただければ分かると思いますが「グーグルがYouTubeを買収して動画配信時代が来た」とか「アマゾンがホールフーズを買収してリアルな小売業に進出した」ぐらいのレベルの事件です。

 米マイクロソフトが18日、米ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを687億ドル(約7兆8700億円)で買収すると発表しました。

 数字をまるめて日本のメディアでは「8兆円買収」と呼ばれているとおり、マイクロソフトにとって過去最大のM&A(合併・買収)です。もし買収が成立すればマイクロソフトのゲーム事業売上高は中国のテンセント(騰訊)、日本のソニーグループに次いで第3位になります。

 しかし、「とはいえ」なのです。アクティビジョン・ブリザード社がいかにゲーム大手とはいえ売上高は約91億ドル(約1兆4000億円、直近12カ月、以下同じ)、純利益26億ドル(約3000億円)の企業を買収して、マイクロソフトが業界第三位(!)になることが、「なぜそれほどの大ニュースになるのか?」と疑問が湧くかもしれません。

 実はこのニュースは、マイクロソフトが業界3位になるという視点ではなく、「マイクロソフトがGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)や中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)をはるか下に見る、圧倒的世界一位に返り咲くための戦略が始まった」という視点でこそ捉えるべき話なのです。