望みどおり給料が増えても
実際は満足できない!

 私は新婚のときに300リットルの冷蔵庫を買いました。そして18年後、4人家族になり、冷蔵庫はパンパンになって壊れたために550リットルの冷蔵庫に交換しました。

 300リットルから550リットルですから、かなりのスペースが確保できました。こんなに大きな冷蔵庫になったらパンパンになることは二度とないだろうと思いました。

 しかし、冷蔵庫を購入して半年もたたないうちに、冷蔵庫の中身はパンパンになりつつあります。妻はもう少し大きな冷蔵庫にすればよかったと言っていますが、少し大きな冷蔵庫にしたところで、すぐにパンパンになったでしょう。

 給料の場合は、収入の額まで支出が膨張しますが、冷蔵庫でも容量いっぱいまで中身が膨張するということです。

 サラリーマン時代に、会社の同期に「今の給料に満足しているか?」と聞いたところ、「あと毎月手取りが1万円多かったら生活が楽なのに」と言っていました。その同期とは給料が同じくらいなので、「それはそうだな。私もあと1万円手取りが多かったら、どれだけ生活が楽だろう」と思いました。

 今度は、10年先輩に「今の給料に満足していますか?」と聞いたところ、「あと2万円くらい手取りが多かったら生活が楽なのに」と言っていました。先輩は私より給料が多く、結婚もしておらず実家暮らしなのに、それでも給料が足りないんだなあと思いました。

 次に、喫煙室で20年先輩の部長に「今の給料に満足していますか?」と恐る恐る質問してみました。部長は、赤いボルボのステーションワゴンに乗り、フルオーダーのスーツを着てロレックスをつけていましたが、こんなに会社のために働いているのに「給料があと3万円くらい多かったら生活が楽なのに」と言っていました。

 でも、断言できますが、彼らは望んでいた1万円、2万円、3万円が手に入ったところで、「あと少し給料が多かったら生活が楽なのに」と言うはずです。人間とはそういうものなのです。