独自開発したスマートフォンの不評などの影響で、株価がピーク時の半分以下に低迷しているバルミューダ。インターネット上で批判を集めることも増えてきた同社だが、寺尾玄社長は決算会見で「反応は予想外だった」と心境を明かした。勝機を見誤った印象のある同社は今後、どんな道のりをたどるのか。過去の歴史や事業戦略を基に、“復活”に向けた可能性を探る。(ジャーナリスト 本田雅一)
相次ぐ不祥事で株価低迷も
新製品で復調なるか
昨年来、下降を続けていたバルミューダの株価は1月27日にやっと底を打ったようだ。2020年末の東証マザーズ上場後、一時は8700円台の高値を付け、1万円を目指していた同社株だけに、3100円前後(本稿執筆時)という数字は期待通りではないだろう。同社は今後、年内に投入予定という新製品を含めた家電ジャンルで巻き返しを図る。
2月10日に開かれた21年12月期の通期決算会見で、バルミューダの寺尾玄社長は「コロナ禍の影響で北米での伸び悩みがあるものの、国内および韓国での好調な売り上げに支えられて増収増益を果たした」と強調。昨年5月に上方修正していた業績からさらに上積みがあったことなど、本業である家電事業が堅調に推移していると話した。
一方で、詳細の発表以降、逆風が続いてきたスマートフォン事業についても、実績はほぼ予想通りとした上で、今後も新製品開発を継続するとしている。
上場からスマートフォン発表、発売、その後の株価下落など、評価がジェットコースターのように変化している同社だが、企業としての姿勢に動揺は見られなかった。
しかしながら、上場後のような勢いを取り戻すためには、本業である家電領域で、より一層独創性のあるアイデアを実現することが不可欠だ。
加えて、スマートフォンをはじめとする新ブランド「バルミューダ テクノロジーズ」で、同社ならではの価値創造ができることを証明していく必要があるだろう。
絶好調だったはずのバルミューダにとって、歯車の狂いが顕在化したのは、シンプルな家電製品が主力だった同社がスマートフォン市場に参入し、独自端末「BALMUDA Phone」を発表したことだった。
この製品は、同社がテクノロジージャンルへと踏み込んだ新ブランドの最初の製品として期待を集めた。だが、詳細が発表される前から、この挑戦に対するメディアや投資家からの評価が過度だったことは否めない。