――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
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中国が新型コロナウイルス感染症の完全な封じ込め政策を採用して以来、はたしてこの政策を続けることは可能なのかと他国の人々は疑いの目を向けてきた。感染力の強い新たなウイルス株が出現するたびに、「ゼロコロナ」政策には以前にも増して用心深い対応と頻繁な日常生活の制約が必要になった。
しかし、この政策はいまだ継続中であり、中国国内ではその素晴らしい成果が評価されている。冬季五輪のため北京入りした外国人たちは、ディストピア(暗黒世界)的な未来にやって来たかのような「バブル」に閉じ込められ、常に隔離の恐怖に苦しめられたかもしれない。しかし、バブルの外の北京市内の生活は、通常に近いようにみえる。商店・博物館・オフィスなどは開かれたままで、地下鉄の運行や道路交通は2019年の同時期並みだった。米国は今になってようやくコロナ禍から立ち直りつつあるが、中国は2020年中には既に立ち直り始めていた。