毛沢東に次ぐ中国の最高指導者としての立場を確立したい、習近平国家主席。今後のシナリオの一つとして、中国のゼロ・コロナ運営によって、半導体の需給がさらに引き締まり、米国や欧州各国、わが国による「半導体争奪戦」が激化する可能性がある。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
中国のゼロ・コロナ政策で
「半導体争奪戦」が激化する
現在、中国共産党政権は、北京冬季オリンピックや共産党大会などを控えて、「ゼロ・コロナ対策」を徹底させようとしている。しかし、いまのところコロナ感染には完全に歯止めがかかっておらず、陝西省西安市でのロックダウン実施などかなり厳しい状況を迎えている。
今後、ゼロ・コロナに失敗するようなことになると、世界経済に重大なマイナス影響を与えるだろう。半導体不足一つをとっても、影響は大規模になることが懸念される。世界的な自動車やスマートフォンの生産に、無視できない影響を与える。
米国を中心に「メタバース」に取り組む企業が増え、デジタル化はさらに加速している。今後、ワクチン追加接種の増加や経口治療薬の供給によって、寸断された人流・物流が徐々に修復され、消費が急回復すると、自動車の需要が急ピッチで回復する展開も予想される。
主要国にとって、自国の企業が必要とする半導体を確保できるかは、今後の景気回復に決定的な影響を与える。今後のシナリオの一つとして、中国のゼロ・コロナ運営によって、半導体の需給がさらに引き締まり、米国や欧州各国、わが国による「半導体争奪戦」が激化する可能性がある。