大手塾で算数講師の経験を積んだ後、算数専門のプロ家庭教師として約20年間、2000人以上のお子さんを指導してきた中学受験専門のカリスマ家庭教師・安浪京子先生は、その経験から「ノートをひと目見ると、その子の学力がわかる」と言います。
ノートとは、思考を整理して、それを自分や相手(採点者)に伝える練習をするための基本の道具。しかし、子どもはもちろんのこと、保護者ですら、ノートの価値を低く見積もっている方が多いそう。6年生でもノートの書き方を知らない子は多く、その状態のまま、受験勉強に励んで伸び悩んでいる子は多いのです。
本連載では、「ノートの正しい書き方を知らずして、学力は上がらない」と断言する安浪先生が、指導の中で必ず教えるノート術を初公開した話題の書籍『中学受験 必勝ノート術』の中から、一部を抜粋し、ご紹介していきます。(本書をさらに詳しく紹介した動画もチェック!)
算数はちょっとしたことで、点数が上がる!
ノートの使い方や書き方が、最も合否に影響しやすいのが算数です。
理由は主に3つ。
まず、算数という教科は、考えたことを筋道立てて書き出す必要があります。なぜその数になるのか式を書いて示したり、答えを導き出すために条件を整理したり。自分の頭の中を見える化しないと得点に結びつきません。だから、ノートにアウトプットする練習が欠かせません。
2つ目は、「図形を正しく書ける」≒「解ける」だからです。
例えば、正方形の問題なのに手元で台形を書いていたら、解くときに頭が混乱しますよね。視覚でとらえた見た目の情報は、問題を解くうえで非常に大切です。したがって、正しく図形を書けることは、解けることにつながる大前提であり、突破口でもあります。
ところが、最近は図形を正しく書けない子がとても多くなっています。プリントへの書き込みやデジタルによる学習が増え、図形を書く機会が減っていることが影響しているように思います。だからこそ、自分の手で図形をきちんとノートに書くことが大切です。
3つ目は、以前にも増して、入試において算数の重要性が高まっていることが挙げられます。
算数単独入試を実施する学校が増え、合否ライン上ギリギリの受験生のうち、算数の得点が高い子を合格とする学校もあります。大学受験でも、私立大学文系の雄、早稲田大学の政治経済学部が、入試に数学を必須科目としたことは大きな話題になりました。それほど、算数・数学を通して身につく「論理的思考力」が社会で大きく求められているのです。
また、桜蔭や豊島岡といった読書好きが集まる最難関女子校は、国語ができて当然の世界、結局算数で合否がわかれることになります。つまり、算数ができる子は、あらゆる面で一歩抜きん出るということです。
大人には当たり前のことが6年生でも意外にできない
ところが、これらを理解し、意識して算数に取り組んでいる子はまだまだ少ないのが現状です。
そこで、本書では、算数のノートの書き方や作り方も、基本のキから紹介します。大人からすると「え、こんなところから?」と思うほど簡単で単純なこともお伝えしていますが、6年生でも意外とできていないものです。
だからこそ、ちょっと教えてあげるだけで理解するための土台が固まり、成績がぐんぐん伸びていきます。勉強内容に踏み込む難しい話はありませんので、安心して取り組んでください。