ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が冷戦後の欧州の秩序を想定外の手段で覆そうとする中、西側諸国の指導者は対応に苦慮しており、これまでの成果はまちまちだ。西側諸国は、容認できる譲歩の限界や、プーチン氏が戦争の道を選択した場合に科す制裁措置の性質について、ほぼ一致した姿勢をとっている。仏政府の目立ちすぎるスタンドプレーや、独政府の無気力な受け身の姿勢も、西側諸国が共通の立場を打ち出す上で妨げとはならなかった。こうした成果は米バイデン政権が功績として誇れるものだ。しかしこれは防御的な成果であり、決定的な成果ではない。プーチン氏が21日の演説で示したように、同氏は依然として主導権を握っている。対立の次の段階を決めるのはプーチン氏の決断であり、われわれの決断ではない。西側諸国の指導者は、これまで何十年にもわたって大国ロシアのことをばかにし、嘲笑してきた(故ジョン・マケイン上院議員はロシアのことを「国の姿を装ったガソリンスタンドだ」と評した)。そのロシアは欧州で外交・軍事上の主導権を握っており、西側諸国はこれに対して今のところ無力だ。われわれはこうした状況に気をもみ、プーチン氏に出口を提示し、内容を注意深くぼかして準備した制裁措置が彼の気持ちを変えることを期待している。