――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター ***  その発端は、チョコレートを巡る貿易紛争だった。  2013年、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領(当時)は、欧州連合(EU)との連合協定締結を目前に控えていた。協定は世界経済との融合へ向けた大きな一歩だ。  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、EUに対抗する自身の経済圏であるユーラシア経済連合にウクライナを加えたい考えだった。そのため、ウクライナの動きに対し、同国からの製品、特にチョコレートの輸入を阻止し、天然ガスの価格を引き上げる構えを示してけん制した。