その発端は、チョコレートを巡る貿易紛争だった。2013年、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領(当時)は、欧州連合(EU)との連合協定締結を目前に控えていた。協定は世界経済との融合へ向けた大きな一歩だ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、EUに対抗する自身の経済圏であるユーラシア経済連合にウクライナを加えたい考えだった。そのため、ウクライナの動きに対し、同国からの製品、特にチョコレートの輸入を阻止し、天然ガスの価格を引き上げる構えを示してけん制した。ヤヌコビッチ氏は圧力に屈し、EUとの協定を破棄。これを受け、ウクライナでは大規模な抗議行動が発生した。ヤヌコビッチ氏は解任され、親欧米政権が誕生した。これを見たロシアは2014年にクリミアを併合し、ウクライナ東部のドンバス地方で反政府活動をあおった。プーチン氏は今週、同地域に軍を派遣。米国は一連の制裁発動で応じた。