見直さなければいけないのが、年金だ。

 現在、非正規労働に従事する人の多くは国民年金に加入している。国民年金は、40年間保険料を納めて、満額で月額6.6万円を受給できる、というもの。もちろん、そんな収入で生活するのはそう簡単じゃない。

 なぜ、こんな受給額が設定されているかといえば、そもそも国民年金が対象としていたのは、定年のない自営業者だからだ。年金以外の収入があることを想定して作られている制度なんだよ。

 でも、非正規社員は勤め人だ。老後も働き続けられるとは限らない。しかも、前にも説明したように、彼らは家計の補助のために働く主婦とは限らない。自分で食べていかなくてはならない、ひとり暮らしの未婚者がかなり含まれている。

 非正規社員が老後、貧困に陥らないようにするには、まず彼らが厚生年金に加入できる仕組みを作ることだ。厚生年金は、年金保険料を企業と労働者が半分ずつ支払うことになっており、給付水準も比較的、恵まれている。これまで政府は、厚生年金の対象者を広げることを検討してきた。でも、業界団体の反対もあって、わずかな拡大にとどまっている。もっと広げていくべきではないだろうか?

 女性でも高齢者でも、ちゃんと働けてしっかり収入を得られる――そんな世の中が来れば、これを読んでいるみんなだって安心だよね。だって、誰がいつシングルになるかわからないんだから。離婚や死別、別居。たとえパートナーがいても、ひとりで生きていかなきゃいけない時が来るかもしれない。

 単身世帯の問題は、今、ひとり暮らしをしている人だけの問題じゃない。誰にも起こりうる、社会全体の問題なんだ。