ロシア軍事侵攻後の米国株
過去と違う不安定・乱高下
ロシアがウクライナに軍事侵攻してから約2週間が経過した。その間、米国株は乱高下を続けている。米国株(S&P500種株価指数)の予想変動率を示すVIX指数は30を超えるなど、株式市場の値動きは不安定で、株価下落リスクが高まっていることが示されている。
米国株式市場は、ロシアの軍事侵攻を織り込んでいるとの見方もあった。バイデン米大統領が今年1月からロシアの軍事侵攻リスクを警告し、2022年初から軍事侵攻前の2月23日までの間に、米国株はすでに約12%も下落していた。しかし、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後も、米国株の値動きは不安定なままだ。
過去のロシアの軍事侵攻後、VIX指数はそれほど上がらなかったとの経験則もあった。過去のロシアの軍事侵攻の事例として、2008年8月の南オセチア紛争、2014年2月のクリミア侵攻、2015年9月のロシア軍によるシリア内のイスラム国への空爆、などが挙げられる。過去3回のロシア軍の軍事侵攻から約2週間(10営業日)後のVIX指数は、16から20程度と低く、2008年と2015年のケースでは軍事侵攻後にむしろ低下した。